建物調査の分野でも測量の技術は応用されています。
例えば、3次元点群処理を活用し、建築物や文化財の外壁、屋根等の経年変化分析調査を行い、維持管理に役立てることができます。
ここでは3つの分野を例に挙げながら、具体的にどのような部分で測量の技術が利用されているか紹介していきます。
大掛かりな作業を行う工場において、建物や設備の安全確保は必須です。
配管の干渉や形状、溶接間距離、柱の傾きなどをしっかりと把握し、維持管理しなければ大事故につながるおそれがあります。
また、新しい設備を導入する際にきちんと収まるか、設置場所に搬入する際に既存の設備が邪魔にならないかといった確認作業に測量の技術を活かすことができます。
遺跡調査にも3D測量は用いられており、遺構や遺物のデータを出土位置ごとに計測することができ、取得した3次元データによって建物の外観を示す立面図の作成が可能です。また、時代区分を判定する材料にもなります。
歴史的建造物の調査では、建物補修の計画図面の作成にあたって3D測量の技術が使われます。
通常であれば足場を組み、人が内部の大きさや位置をひとつずつ確認しながら図面を作っていくのですが、3Dスキャナを使うことでこうした手間を省き、低コスト・短時間で建物をデータ化することができます。
また、災害によって歴史的建造物が崩壊した場合には、修復・復元をするために損傷前のデータと現在の状態を比較することで、適切な作業を効率よく進めることに役立ちます。